- 【薬師堂】
- 薬師池公園周辺は、戦国時代には北條氏照(ほうじょううじてる)の支配領域であった。野津田薬師といわれている薬師堂は、天平年間(729~749)行基(ぎょうき)の開基と伝えられており、現存する薬師堂は、福王寺薬師堂のことで、明治16年(1883)の再建されたものです。
- 御本尊の薬師如来様は、秘佛の為、12年に一度、寅年の4月10日から5月10日までの一月間だけ扉が開かれ、拝観することができます。天井絵は墨絵の龍と彩色された二人の天女様が、狩野派の絵師、狩野信矩により描かれています。
- この御堂の特徴は、彫り物と、総欅造りで御堂の入口にまりを抱えた獅子が彫られており、まりの中の玉は、ころころと動くようにまりの外から彫りぬかれているとのことです。
- 境内には采女霊神(うぬめれいじん)、お稲荷さんがあります。
- 【追記:2018.8】
- この薬師堂の天井絵とすかし彫りがすばらしいので詳しく紹介します。
- 【境内の栞から】
- 中央におまつりされている御本尊様は、薬師如来様です。お薬師様の右には日光菩薩様が、左には月光菩薩様が脇佛としてまつられています。更に右側と左側に六人ずつ、十二人の神様がまつられています。全部で十五体の佛像がまつられています。
- この御堂の薬師如来様は、天平年間(今から約千二百七十年前)に行基菩薩様が彫られたものであると、現存する寺の巻物に記されています。古来よりお薬師様は眼病に御利益のある佛様として信仰されてきました。町田市内にある木で彫られた仏像としては、最も古い佛像である事が認定されて昭和六十二年町田市の文化財に指定されました。
- 御本尊様は秘佛です。十二年に一度、寅年の四月上旬から五月上旬の一月間だけ扉が開かれ、拝観する事ができます。普段は拝観できませんので、写真を飾ってあります。日光菩薩様と月光菩薩様は、信者さんが彫られたもので素人作りの佛像です。
- 天井には、墨絵の龍と彩色された二人の天女様が描かれています。描いた人は、ふすま絵や屏風絵で有名な狩野派の絵師、狩野信矩という人です。明治三十年(一八九七)に描かれた事が天井の右の隅に記されています。龍を描く時には、村人が総出で墨をすらされたそうです。どちらの絵も、この御堂の分家である華厳院の広間で描かれた後、この御堂に運ばれてまつられました。
- この御堂は、明治十六年(一八八三)に再建されたものです。この御堂の特徴は、彫り物と、総欅造りである事です。又、御堂の中も外も丸柱の上には贅沢な木組みがされています。御堂の中には二匹、外にも十三匹の獅子が彫られています。御堂の入口にまりを抱えた獅子が彫られていますが、まりの中の玉は、ころころと動くようにまりの外から彫りぬかれています。御賽銭箱の上の龍の彫り物や外廊下の角の木組みの他、御堂と外柱との間の龍をすかし彫りにした曲がっているえびごうりょうは特に素晴らしい作品です。 [平成十四年十月二十日 薬師堂管理者 華厳院住職記より]
- 【2022.04.12 更新】
- 今年が御本尊様が12年に1度拝観することができますので行ってきました。室内での撮影は禁止となっていますので外から窓越しに撮影しました。
- 2022年4月9日(土)~5月8日(日)まで薬師如来坐像が開帳されています。
- <薬師堂管理者 華厳院住職記より>
- 薬師堂の本尊である木造薬師如来座像は、欅の一木造りで、頭体幹部を一材から彫成して、両脚部をはぎつけ、左手首を差し込み、右肘と右手首をはぎつけてあります。らほつを始め、衣部のひだや体の微妙な肉取りなどが省略されていて、極めて素朴な表現のお佛像です。お佛像の高さは七〇.六センチメートルです。
- 佛師は、此の地付近の素人的佛師だと推定されます。構造や技法から推測して平安後期、十一世紀頃の作と考えられています。町田市内の木造佛としては、最古の佛像です。この地方の古代史にとって重要な佛像です。
一度は訪れてほしい町田市の景勝地、薬師池公園とその周辺の紹介サイトです。